Znめっきと微細部品と耐食性-1Zn plating, micro-components and corrosion resistance-1

めっきの耐食性で困っている企業様からの相談がありました。
Znめっきをした部品を塩水噴霧試験を実施したところ48時間で腐食してしまったとのことです。

塩水噴霧試験で、48時間をクリアしたいとのこでした。
できれば72時間、欲を言えば96時間をクリアしておきたいとのことでした。

塩水噴霧試験の仕様は、中性塩水噴霧試験と呼ばれており、金属や金属めっき製品の耐食性を評価するための加速試験の一つです。

主にめっきや塗装などの腐食防止処理が施された材料に対して、その防食性能や耐食性を評価するために用いられています。

中性塩水噴霧試験は、通常、次のような条件で行われます

  • 塩水溶液 :   5% NaCl(塩化ナトリウム)水溶液。
  • 温度   :   35℃に維持された試験室内で実施。
  • 噴霧   :   塩水が細かい霧状に噴霧され、試験片が均等に塩水に曝される。

 

標準的な環境条件(温度・湿度)の下で金属材料が長期間曝される状況を想定し、短時間で腐食の進行状況を評価します。
耐食性の良い材料やコーティングは、より長時間腐食に耐えることができます。

過去の経験ですが、実施したZnめっきの塩水噴霧試験において、その試験結果を評価する上で考えさせられることがありました。

塩水噴霧試験後に亜鉛めっき表面が白っぽく変色(白錆の発生)したことがありました。
これを腐食したと判断するかしないかで議論となったのです。

本来、設計的には、素地である鉄を守るために、Znめっきの犠牲防食の機能を使い、鉄錆(赤錆)を防止しているわけですが、試験後の部品に赤錆の発生はないが、ZnめっきのZnの白錆の発生があることについて、塩水噴霧試験による耐食性がないと判断してしまってよいのか?

判定結果は2つに分かれてしまったのですが、犠牲防食というZnの性質を考慮すると、Znが犠牲になり鉄を守っているわけですから、塩水噴霧試験による鉄の腐食防止は効果があったと考えるのが妥当です。

結果的には、Znめっきの白錆の発生は問題なしということになりました。

塩水噴霧試験では、鉄素地から赤錆が発生したか否かについて判定するようになっています。
つまり、赤錆が発生するまでの時間(耐食性時間)が部品の耐久性として評価されるわけです。

Znの白錆については備考として、白錆の発生時間を記録しておく程度でよいかと考えます。

このような混乱を招かないように、テストに詳細な取り交しがあっても良いと思います。
例えば、「塩水噴霧試験による鉄の防錆効果の確認(Znの錆は除く)」といったような。
これは、依頼者やお客様と取り交しの際に付け加えるか、決めておくのがよいかと思います。

次回は部品の仕様とめっき方式について触れてみたいと思います。

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