亜鉛めっきの耐食性に関する2回目になります。
前回は塩水噴霧試験の内容が長くなってしまいました。
前回の話では、塩水噴霧試験の結果判定を誤ってしまい、NGにしてしまう可能性もあるという内容がありました。
ルールを守って部品を製造していれば、検査に合格するはずなのに、ある日、突然不合格になってしまうことがあったりします。
部品を製造する側の人達にとっては非常に困る問題ですよね。
前回の話のように、人が絡んで判断が変わってしまった場合や試験機に異常が発生してしまった場合などもあるので、注意が必要です。
さて、本題に入っていきます。
お客様からの依頼の詳細を伺う中で、部品の形状が非常に小さな部品であることがわかりました。
お客様の会社では、精密自動旋盤を使用し微細な部品加工を行っているとのことでした。
微細で複雑な形状の加工も行っているようです。
また、我々が扱うコンタクトプローブの加工も行っていたりと、幅広い業界の精密加工部品を供給しています。
この部品が使用される製品の情報を聞いたところ、確かに部品が小さくなければならないことに納得しました。数種の部品の中で、微細部品の部類に入るものもあり、最も小さな部品で1mmほどの大きさです。
現状は協力めっき会社にてめっきをしてもらっているようです。
このような小さな部品にZnめっきをしているめっき屋さんがあることを我々は知りませんでした。
どのような方法でZnめっきをしていたのか非常に興味があります。
Znめっきというと、自動車部品のブラケットのような大きな部品を想像してしまいます。
小さな部品でいうと、ネジやワッシャーが思いつきます。
それでも、我々にとっては非常に大きな部品の部類に入ってしまいます。
今回のような小さな部品であると、めっき方式はバレルめっきになります。
ネジやワッシャーのような部品と同じような方式でめっきする形式です。
ネジやワッシャーなどのバレルめっきの特徴は、1バッチ(1回)で大量の部品を処理できることです。
部品にもよりますが、1バッチで数万個から数十万個、それ以上の部品が処理されます。
つまり、大量生産に最適なめっき方法であり、コストを抑える方法になります。
一方、外観品質が非常に重要な部品などは、部品の表面がめっき中に擦れて傷がつく可能性があるため、注意が必要になります。
今回の課題となる部品は微細部品であり、めっき厚や寸法公差にも厳しさがありました。
さらに、1mmほどの大きさの部品を数量5個だけにめっきをしなくてはなりません。
耐食性もクリアしなくてはならなく、難易度はそこそこあると感じました。
図面のめっき仕様は「Ep-Fe/Zn 5/CM2 Cr3」となっています。
この仕様は、電気めっきで亜鉛めっきを5μmつけて、その上に3価クロメート処理をするというものです。
これまでに、お客様の協力めっき会社にてZnめっき処理を行い、耐食性試験を行ってきたとのことですが、48時間をクリアすることができず、腐食してしまっていたことから、図面仕様でなくても良いので、耐食性試験をクリアするめっきをしてほしいとの要望でした。
しかし、我々は、なんとしてでも図面仕様を満足した上で、Znめっきで耐食性試験に合格したくトライすることに決めました。
そのために、Znめっきの被膜改質を考慮して挑むこととしました。
次回はZnめっきのトライに触れてみます。