デシケーターの製作Fabrication of desiccator

物を保管する際に、湿度を嫌う場合があります。
部屋全体を湿度管理する方法もありますが、費用的に厳しいものがあります。
そこで便利なのが「デシケーター」になります。

デシケーターとはどんなものかというと

湿気を吸収し、空気中の湿度を低下させることで、物や製品を乾燥させるための装置です。
湿気を除去することで、樹脂や他の湿気を嫌う物質を保護し、劣化や損傷を防ぐことができます。

湿気を吸収するだけならば、吸湿材という非常に便利なものがあります。
よく使用する吸湿剤の中に、シリカゲルがあります。

シリカゲルとはどんなものかというと

メタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)水溶液から
酸成分の加水分解で得られるケイ酸ゲルを脱水・乾燥して製造される物質です。
多孔質で、単位体積当たりの表面積が大きいので、周囲の物質を吸着し易い性質があります。
この性質を利用して、包装用乾燥剤として一般的に使用されています。

今回、湿度に敏感な樹脂を保管しなくてはならないため
デシケーターの製作をすることになったのですが
吸湿剤を使用する方法ではなく、固体高分子電解質膜を使った方法を採用しました。
固体高分子電解質膜を使った除湿は電気的な除湿方法で電解式除湿と呼ばれています。

電解式除湿とはどんなものかというと

固体電解質膜の両面に除湿素子という多孔性の金属電極があって
二つの電極間に+3Vほどの電圧を印加 すると、陽極側で水は酸素と水素イオンと電子に分解されて
水素イオンは固体高分子電解質膜内を通って陰極に移動し、
陰極で大気中の酸素と反応して水を生成します。
陽極に接する側の空気中の水分は減少し、陰極に接する空気中の水分は増加します。

製作に使用したデシケーターの箱は、ホームセンターで売っているパッキン付の容器を使用しました。
ここで重要なのは、密閉できる容器であることです。タッパーの容器のようなものでも大丈夫です。
それと、湿度を測定できる計器が必要なので準備します。

容器に、固体高分子電解質膜と湿度計を取付ける穴加工をして取り付けます。
供給電源は常に除湿をしておきたいので、100V→3Vに変換する機器を取付けます。

さて、デシケータの効果ですが

室温24℃/湿度56% のとき デシケータ内45%
室温22℃/湿度60% のとき デシケータ内45%
室温17℃/湿度65% のとき デシケータ内46%

といった感じで、デシケータ内は約45%で維持しているようです。
使用した固体高分子電解質膜が中古品!?だったので性能が低下していた可能性があります。
電圧はしっかり+3V印加できているので、固体高分子電解質膜は寿命があるということだと思います。
おそらく、周囲の湿度に対し、30~50%程度は低下させることが可能ではないかと思います。

菱彩テクニカ株式会社の商品によると、湿度10%になるまでの効果があるようです。
電気分解式除湿の原理の説明もあるので、よかったら読んでみてください。

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