前回は、水素水とはどのような水かについての説明と体内に吸収するとどのような効果があるのかについて触れてみました。
今回は、水素水と還元水素水の違いについて考えてみたいと思います。
水素水を生成できる機器が、各メーカーで販売されているのを目にすることがあり、以前からなんとなく気になっていました。
機器メーカーのHPでは、「水素水」「酸性水」「浄水」が作れますとか、「アルカリイオン水」や「弱酸性水」が作れますなど、いろいろな商品が販売されています。
表示名をよく見てみると「還元水素水」と書かれている機器があります。これは水素水とは違い、水素も入っているアルカリイオン水ということです。
水素水と還元水素水の違いについて考えてみたいと思います。
水素水は、水素分子(H₂)が溶け込んだ水のことで、還元水素水は電気分解によって生成される、水素を含むアルカリ性の水になります。
pHをみてみると、水素水は中性(pH7前後)で、還元水素水は弱アルカリ性(pH8~10)です。
肝心の水素濃度ですが、水素水は通常0.3~1.6 ppm(飽和濃度)、還元水素水は不安定で低め(電解直後に水素発生)となっています。還元水素水の水素はすぐに無くなってしまうのではないかと思われます。
生成方法についてですが、水素水は、水に水素ガスを高圧で溶解させたり、水素発生剤で水素を生成します。そして、水素が抜けないような容器に封止しています。一方、還元水素水は、整水器で水道水を電気分解し、陰極側の水(pH8~10程度)を利用したものになります。
水素水と還元水素水が人体にもたらす効果がどれだけあるのかについて考えてみましょう。
水素分子(H₂)は最も小さく軽い分子で、細胞膜を通過しやすく、体内の活性酸素と反応するとされ、悪玉活性酸素であるヒドロキシラジカル(OH・)を選択的に除去するという効果があるようです。
活性酸素の軽減、疲労回復、美容においては、適度な水素水が効果をもたらしてくれます。
胃腸の不調においては、還元水素水が良いとされています。例えば、胃酸過多の人の場合、還元水素水の弱アルカリ性(pH8~10)により、胃酸をやや中和し、胃への刺激を緩和する働きがあるとされています。胃のpHを極端に変えるわけではありませんが、緩やかに中和方向に変化することで効果があります。
医療機器としての「アルカリイオン整水器」では、食後に胃が重く感じる胃もたれの症状の軽減や軽度の膨満感などの胃の不快感の軽減、胃酸過多による胸やけや酸の逆流を緩和したり、慢性的な下痢の改善、消化不良の改善、腸内異常発酵によるガスが溜まりやすい症状の改善などに効果を発揮するとしています。
還元水素水を生成する整水器はたくさんの機種が販売されており、安価なものから高価な数十万円のものまで様々です。価格に伴って、生成できる量やpHの調整、フィルター機能など装備に違いがあるようです。還元水素水は、口に含んだ際の舌触りが柔らかい印象があるので、pHがアルカリ寄りであると確認することができると思います。
還元水素水を使用して、お茶やコーヒーを飲む際には、アルカリの効果によりタンニンの抽出が穏やかになり、苦味・渋みが和らぎ、まろやかで渋みが少なく、香りが立ちしやすくなります。炊飯では、米のデンプン分解が促進され、吸水がよくなるため、ふっくら仕上がり、甘みが引き立ちます。味噌汁・スープでは、グルタミン酸などのうま味成分が抽出されやすくなり、出汁の味がはっきりしたり、塩味がマイルドになったりします。煮物では、食材の細胞壁がアルカリ性でほぐれやすくなるため火の通りが早くなり、柔らかく煮え、素材の味が引き立ちます。
このように、水素水と還元水素水は全く違うものであり、使用目的や効果の期待を明確にすることで導入がしやすくなるのではないでしょうか。