アイスコーヒーを飲みたくなった時、最近では、コンビニやStarbucksなどで飲もうと考えがちですよね。ここで飲む時のアイスコーヒーは、樹脂製や紙製のカップに入ったアイスコーヒーがほとんどだと思います。ファミレスだとガラスコップに入ってきたりしますね。古くから経営をしている喫茶店では、銅製のコーヒーカップでアイスコーヒーが出てきたりします。
最近、銅製のコーヒーカップでアイスコーヒーを飲んだ時に、金属製のカップがアイスコーヒーにどんな効果をもたらしているのかが気になったので、考えてみました。
銅は、原子番号29の元素で、遷移金属に分類されます。結晶構造は面心立方で、密度は8.94 g/cm3の金属です。
銅は古代より器具や装飾品に使用されてきた金属であり、熱伝導性・抗菌性・加工性に非常に優れた金属です。銅は銀に次いで高い熱伝導率(約 400 W/m·K)を持っています。また、銅は接触殺菌効果(contact killing)が知られていて、多くの細菌やウイルスに対して短時間で殺菌作用を発揮するのが特徴になっています。これは、イオン化したCu⁺およびCu²⁺が細胞膜を破壊し、内部構造を損なうためとされています。
銅は、純銅とそれ以外の銅合金として身の回りで製品などに使われています。気にするとあちらこちらに存在しています。
純銅は、装飾性・導電性に優れ、美観と熱伝導性を両立できるため、外装としても適しています。ただし、表面酸化による変色が起こりやすいため、表面処理を施す場合が多々あります。
銅合金の中でも、銅と亜鉛の合金は、5円玉に使用されていて、真鍮(Brass)と呼ばれ、加工性・耐食性・美観に優れている材料です。また、機械的強度と耐食性にも優れ、形状の自由度が高いため、カップの縁や取手部分によく用いられたりします。また、装飾的価値が高く、アンティーク調の製品にもよく使われています。
さて、銅のカップは特別なにか理由があってこの材質が採用されているのでしょうか?
一つに、銅の熱伝導率(約 390–400 W/m·K)が高いことが理由であると考えます。金属の中では、銀に次いで2番目に高い値であり、ステンレス鋼の熱伝導率(約15 W/m·K)と比較しても20倍以上の熱伝導性があります。
銅が熱をよく通すのは、その原子構造と電子の自由度によるものなのです。つまり、銅は自由電子の密度が高く、かつ電子の移動抵抗が小さい(低い電気抵抗)ため、熱もよく流れるということであり、熱エネルギーが迅速に伝達されるということになります。熱伝導率と電気伝導率は比例関係にあり、銅は電気伝導性にも優れているから熱もよく通すといえます。
このように、熱伝導性がよいということは、氷の入ったアイスコーヒーの冷たさがカップにも迅速に伝達され、冷たさを口元でしっかり感じられるのです。また、冷たいアイスコーヒーを入れた銅製カップは、冷たさが全体に伝わり、外気を冷却する効果が働き、カップの外周は結露しやすくなります。この結露を処理するためにも、コースターは非常に良い働きをしてくれるわけです。
次回は、銅製カップの熱伝導性能の優位性を、他素材(ステンレス、陶器、ガラスなど)と比較してみたいと思います。